「歯茎が下がってきた」「歯と歯の間に隙間が出来た」「歯が長くなったような気がする」といったことがあれば、歯周病を疑ったほうが良いかもしれません。歯周病は悪化すると歯が抜け落ちたり、他の合併症を引き起こすこともあります。今回は歯周病の症状と対策、予防法についてご説明します。ご自分が同じような症状でないかチェックしてみてください。同じような症状があれば歯科医院に相談することをおすすめします。
歯周病とは、歯垢に含まれる細菌によって歯茎に炎症を引き起こし、ひどい場合は歯そのものへ影響を及ぼす病気です。歯茎の炎症と言うと「歯槽膿漏(しそうのうろう)」を思い浮かべる方も多いと思いますが、歯槽膿漏は歯周組織から膿が出る症状で、歯周病の一部の症状のみを指しています。最近では歯槽膿漏という言葉はあまり使われず、歯槽膿漏を含めて歯周病と呼ばれるようになっています。
では歯周病になるとどのような症状が出るのでしょうか?早期発見、早期治療を行うためにはぜひ症状を知っておきましょう。歯周病には3つの段階があります。段階ごとの症状をご説明します。
【歯周病の段階1】歯肉炎の症状
歯茎が赤く腫れた状態になります。歯茎を指で軽く押すとブヨブヨとしていたり、歯を磨くと血が出るという症状もこの初期段階で表れてきます。また、起床時に口の中のねばつきが気になることもあります。
【歯周病の段階2】歯周炎の症状
歯肉炎の症状がさらに進行すると、歯茎が下がり歯周炎を引き起こします。歯茎が下がると歯が長くなったように見えたり、歯が浮いているような感じがします。また、食べ物が詰まりやすくなったり、歯周病独特の強烈な口臭がするようになります。
【歯周病の段階3】歯槽膿漏の症状
歯茎を指で押すと膿が出る状態です。歯周組織の感染が進むため歯がぐらぐらするようになります。
今挙げた段階別の症状以外にも、硬いものを噛むと痛みを感じたり、歯茎にムズムズとしたかゆみを感じたり、歯茎が赤紫色っぽい場合なども歯周病の疑いがあります。
歯周病にかかると、基本的には歯科を受診して治すことになります。先ほどご説明した3つの段階に応じた治療法を見ていきましょう。
初期段階であれば毎日の歯磨きで治癒が期待できますが、正しいブラッシングによるプラークコントロールが重要です。歯科を受診して、プラークコントロールをしっかりと行うことで歯周病の進行を食い止める可能性が高くなります。
【歯周病の段階2】歯周炎の治療法歯周炎が進行すると歯茎が下がる場合があります。歯科を受診して、歯磨きでは取り除くことのできない歯石や歯垢を除去することで炎症が治まり、歯周炎の進行を改善することができます。
【歯周病の段階3】歯槽膿漏の治療法歯槽膿漏は必ず歯科受診が必要です。段階1、2では歯の表面の歯石や歯垢に対する処置のみでしたが、歯槽膿漏になると歯茎内部の歯石まで取り除く必要が出てくることもあります。歯槽膿漏になっても歯や歯茎を残せる可能性もあるので、症状に気がついた時点で早めに歯科を受診しましょう。
ここまでの説明で、ひょっとしたら歯周病かもしれないと感じた方もいらっしゃるかもしれません。歯周病の可能性がある場合、どのような対策をすれば良いのでしょうか?2つのポイントをご紹介します。
1. 正しくブラッシングする
正しい歯磨きを行うと口腔内の8割~9割の菌をなくすことができると言われています。柔らかめのブラシを使い、歯と歯茎の境目を丁寧に磨くことを心がけましょう。また、歯と歯の間の隙間にはデンタルフロスを使用して、歯ブラシでは落としきれない汚れをとることも有効です。
2. 歯科を受診する
歯周病初期は症状が軽い為、気づかぬうちに進行していたなんてことも。歯科を受診すれば歯石や歯垢を除去してもらえますし、正しい歯磨き指導を受けることもできます。歯周病レベルがかなり進行している場合は、外科的処置などで素早く対応してもらえます。
歯周病かもしれないと感じたときの対策についてご説明しました。一般的に、歯周病は完治が難しいと言われているので、歯周病にならないよう日ごろから意識して予防法を実践することをおすすめします。
【歯周病予防法1】プラークコントロールを行う
歯科を受診すると、正しいブラッシング方法を教えてもらうことができます。歯ブラシにプラスしてデンタルフロスを使うなど、しっかりとしたプラークコントロールを行うことが歯周病予防の基本です。
【歯周病予防法2】定期的に歯科を受診する
歯の痛みや、歯の違和感から歯科を受診するという人も少なくありませんが、予防の観点から定期的に歯科を受診することをおすすめします。30代を越えると、年齢とともに歯周病になる割合が増えると言われています。3ヶ月~半年に1回は検診を受けましょう。
【歯周病予防法3】生活習慣を改善する
生活習慣によって歯周病にかかりやすくなることがあります。例えば喫煙は、タールが歯に付着することで歯垢が付きやすくなり、歯周病の原因となります。その他にもダラダラ食べ、早食いなどは健康的な口腔環境のためにぜひ改善しましょう。
今回は歯周病の症状や対策、予防法をご説明しました。一般的には、虫歯よりも歯周病の方が、歯を抜かざるを得ない状況に陥りやすいと言われています。「今の時代はインプラントできれいな歯が手に入るから」と考える人もいるかもしれませんが、歯周病が原因で抜歯をした場合、インプラントをすることはできません。インプラントは歯茎にねじを埋め込む施術が必要ですが、重度の歯周病の場合、インプラントのねじを歯茎に埋め込むことができず、結果的に歯を再生する手段を狭めてしまうことにつながります。虫歯も同じですが、歯周病も早め早めの対策・治療が基本です。まずはご自身で歯周病の症状を確認し、早い段階で歯科を受診することをおすすめします。
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