ひどい虫歯になってしまったら、どんな治療が行われるのか不安に思ったことはありませんか?ひどい虫歯をそのまま放置すると、最悪の場合、歯を抜かなければいけなくなることも。今回は歯を残すための治療の流れと、虫歯を再発させないためのコツを説明します。
ひどい虫歯の治療は、歯の根の中を治療(以下、根管治療)する必要が出てきます。根管治療は、神経を取ってから被せ物をするまで、数回通院しなければいけません。一見虫歯の穴が小さく、歯が黒くなっていなくても、内部の深いところまで虫歯が侵食している場合があります。この場合、麻酔を打って神経を取る「抜髄(ばつづい)」という処置を行い、炎症を抑えるために薬を詰めて痛みを取り除きます。抜髄は、ファイルという細い針のようなものを根管に入れて、汚れ具合を確認し、薬を詰めて細菌が入らないようフタをします。この治療をおよそ1週間おきに3~4回繰り返します。根管治療は、根管に少しでも菌が残っていると痛みや腫れが再発する恐れがあるため、治療を中断してはいけません。
根管が綺麗になったら、神経を抜いたところに再び細菌が入らないように薬を詰めます。これを「根管充填(こんかんじゅうてん)」といいます。細菌が残った状態で根管充填を行ってしまうと、根管で細菌が広がり、再び治療を行う必要が出てくるので、根管充填は細心の注意を払って行われます。根管充填後、きちんと薬が根の先まで入っているかレントゲンで確認します。これで根管治療は終了です。ひどい虫歯でも、根管治療を行うことで自分の歯を残すことができる可能性があります。
根管治療のあとは、歯の土台を作ります。歯の土台はいくつかの種類があり、代表的なものとして、金属でできたメタルコアや、白いファイバーコアがあります。メタルコアは保険が適用されますが、素材が硬く、噛む力が強すぎると、歯を痛めてしまう可能性があります。ファイバーコアは歯と同じ硬さなので、歯を痛めにくく、とてもよい土台ですが、保険適用外のため、治療費が高くなります。
土台を作ったあとは、被せ物を装着し、噛み合わせをチェックして問題がなければ終了です。保険適用の場合は、前歯にレジンを使った白い被せ物、奥歯に銀歯を被せることが一般的ですが、保険適用外の場合は、セラミックやジルコニアなど、奥歯にも白い被せ物を選ぶことができます。
二次カリエスとは、虫歯治療をした歯の被せ物や詰め物の隙間から虫歯菌が侵入し、再び虫歯になることをいいます。治療したはずの歯がしみる、痛むなどの症状が出てくると、二次カリエスの疑いがありますが、神経を取った歯は痛みを感じませんので、二次カリエスの判断が難しくなります。二次カリエスを防ぐためにも定期的に歯科を受診することをおすすめします。また、治療の前後にかかわらず、そもそも虫歯にならないためには日ごろのケアが大切です。ここからは虫歯にならない為のコツをご紹介します。
きちんと歯磨きをしたつもりでも、食べカスが残っていることがあります。この磨き残した食べカスが虫歯菌のエサとなり、虫歯菌が酸を出すことで歯が溶けて、虫歯の原因となります。特に歯と歯の隙間や奥歯など歯ブラシの毛先が届きにくい部分は、食べカスを取り除くことが難しく、虫歯になりやすい傾向があります。そこで、歯ブラシと併せて使いたいのが、デンタルフロスです。フロスは、歯磨きではなかなか取ることのできない、歯のすき間の細かい食べカスや汚れを綺麗に取り除くことができます。また、歯間ブラシもおすすめです。サイズが極細のものから少し太めのものまで揃っており、歯の隙間に合わせて使います。しかし、あまりゴシゴシすると歯茎を傷つけてしまう恐れがあるので注意しましょう。そして、意外と使われていないのがワンタフトです。このワンタフトは、毛束が小さな山のようになっており、歯を一本一本丁寧に、隅々まで磨くことができる優れものです。面倒くさいと思いがちですが、虫歯を繰り返さないためにも、自分に合ったアイテムを併用することを習慣にしましょう。
最近では、フッ素が配合された歯みがき粉やジェルなどが歯科医院やドラッグストア、Wenサイトでも多く販売されています。フッ素は初期虫歯を修復する働きがあるため、できるだけフッ素が配合されたものを選んで使うことをおすすめします。
キシリトールガムもキシリトールの成分が100%で、砂糖など余分な成分が入っていないものであれば、初期虫歯を修復する働きがあります。また食後にキシリトール100%ガムを噛むことで、唾液が分泌されます。唾液は、虫歯菌や歯周病菌を洗い流すという、非常に大切な役割を果たします。キシリトールの成分と唾液の役割で、虫歯になりにくい環境を作りましょう。参考:キシリトールを選ぶべき理由
自宅でのセルフケアに加えて、歯科での定期検診やメンテナンスは是非受けるようにして下さい。虫歯の早期発見や、歯周病の予防にも繋がります。また、歯科でのフッ素塗布も虫歯予防に効果的な処置としておすすめです。歯科医院で扱うフッ素は市販の歯みがき粉に配合されている量よりも高濃度なことが多いため、予防効果が非常に高いといえます。
歯は失ってしまうと二度と元に戻りません。虫歯を放置してひどくなってしまったという人は、大切な歯を残すためにも深刻な状態に陥る前に歯医者に行って治療を受けましょう。そして、再び虫歯にならないために、今回ご紹介しました虫歯にならないコツを実践して、日頃からお口の中の環境を整えるように心がけることが大切です。
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