歯がしみたり、痛みを感じる場合は、虫歯や知覚過敏が原因かもしれないということは以前コラムでもご紹介しましたが、(虫歯と知覚過敏、歯がしみる原因を分かりやすく解説)今回は虫歯や知覚過敏以外に、歯が痛む原因となる「歯のヒビ」についてヒビが入る原因と治療法をご紹介します。
冷たいものがしみたり、チクチクと痛みを感じたりする場合、虫歯を疑う人が多いのではないでしょうか?実は、歯にヒビが入っている場合も同じような症状がみられます。ただし、自分では「歯にヒビが入っている」と判断することが非常に難しいです。また、歯の表面のヒビは虫歯と違い、レントゲンに映ることは殆どなく、CTでも見つけるのが困難です。では、どのようにヒビを確認するのでしょうか。歯がしみたり、チクチクと痛んだりしているのに、レントゲンをとっても虫歯が確認できないときは、専用の染色液で染め出しを行い、マイクロスコープ(顕微鏡)で「ヒビ」の有無を確認することで明らかになります。
実は、歯の表面に浅いヒビが入ることは、そんなにめずらしいことではありません。では一体何が原因で「ヒビ」が入ってしまうのでしょうか。
【原因1.食いしばり】
日常的に歯を食いしばる癖がある人は、食いしばることで歯に負荷がかかるため、歯がすり減ったり、歯にヒビが入ってしまったりする可能性が高くなります。食いしばりをなくすには、意識して上下の歯と歯が接触しないように注意したり、ストレスを溜めずにリラックスするといったことが大切です。
【原因2.過度な力がかかる】
強い力で噛む癖のある人や、固いものを好んで食べる人も注意が必要です。特に奥歯は、上下の歯の面が接触するため、噛む力が強すぎると、歯に伝わる衝撃が大きくなり、ヒビが入りやすい傾向があります。
【原因3.就寝中の歯ぎしり】
就寝中の歯ぎしりも、歯のヒビに大きく関係します。しかし、歯ぎしりの原因は解明されておらず、治療法も見つかっていません。歯ぎしりによるヒビを防ぐためには、就寝中にマウスピースを装着し、歯を保護することが一番の対応策です。歯科で自分に合ったマウスピースを作ることをおすすめします。
【原因4.噛み合わせの問題】
噛み合わせが悪いと咀嚼時に力の偏りが生じ、一つの歯に負担がかかることで、ヒビが入る場合があります。この場合は歯科医師に相談して、噛み合わせを調整してもらうと良いでしょう。
【原因5.強打や事故など外的要因】
顔をぶつけた、事故に遭ったなど、偶発的な外傷により歯にヒビが入ることがあります。肉眼でもはっきりとわかるほど歯に深いヒビが入ってしまい、ひどい場合はヒビというより歯が大きく欠けたり折れたりするケースがあります。放おっておかずに早急に歯科を受診しましょう。
歯にヒビが入ってしまった場合、ヒビの程度で経過を観察するか、処置を行うか選択肢が変わります。歯の表面は硬いエナメル質で覆われています。そのエナメル質に入ったごく浅いヒビであれば、痛みなどの自覚症状は殆どありません。しかし稀にヒビが原因で、知覚過敏のような症状がでることもあります。知覚過敏の場合、歯科では専用の薬剤やコーティング剤を塗って痛みを軽減させますが、ヒビが原因である場合は、表面を削ってヒビを取り除くことで解消されることがあります。
歯の表面にあるエナメル質の内部を「象牙質(ぞうげしつ)」といいます。象牙質に囲まれた内部には「歯髄(しずい)」という神経組織が通っているため、ヒビが象牙質まで到達すると神経組織を刺激し、痛みを感じるようになります。ヒビが歯髄まで達していると、激痛を伴う恐れがあります。この場合、歯科では、歯を削って神経を取る「抜髄(ばつずい)」という治療を行うことが殆どです。
歯の根元まで縦にヒビが入っている場合や、事故などの外傷により歯が根元から割れてグラグラしている場合、そのヒビから細菌が入ってしまうと歯茎が炎症を起こし、腫れや出血を伴うこともありますので、感染を防ぐためにもすぐに歯科を受診しましょう。歯科での治療は、程度にもよりますが、抜歯を余儀なくされることがあります。
歯のヒビは予防することが難しく、一度ヒビが入ってしまうと自然に治ることは殆どありません。歯にヒビが入る原因は様々ですので、完全に防ぐこと自体、難しいものです。歯に痛みや違和感を感じたら、少しでも早く歯科を受診することが大切です。
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