人と話すとき、「相手が鼻を手で覆う」「顔をそむける」といった行動が気になることはありませんか?ひょっとしたら、あなたの口臭が理由かもしれません。口臭の原因の中で最も多いのが口の中の汚れですが、その中でも歯石は、食べカスや歯垢とは異なり、歯にしっかりこびりついているため、自分で除去するのが非常に難しいです。ここでは歯石を除去・予防し、口臭を改善する方法について紹介します。
以前「口臭外来は口臭治療の第一歩。費用や治療の流れについて」で紹介したように、口臭の原因は様々ですが、中でも特に厄介なのは歯石です。歯石は、歯垢など口内の汚れとカルシウムが結合してできます。では、なぜ歯石がつくと口臭が起こるのでしょう。口臭は口の中で硫化水素やメチルメルカプタン、ジメチルサルファイドなどのガスが発生することで起こります。これらのガスは、口の中にある食べカスや血液、膿などを細菌が分解して発生すると言われています。歯石に付着した細菌が歯肉を刺激することで、歯肉から出血や膿がでます。それらを細菌が分解して発生するガスが口臭の正体なのです。口臭を防ぐために、歯石が付着しないような対策を行うことが大切です。ではどのような対策が必要なのでしょうか。
一番手軽にできる対策としては、自宅で行う歯磨きです。歯垢が歯石になる期間はおよそ1日~2日といわれます。食後の歯磨きでしっかり歯垢を落とせば歯石はつきづらくなります。以下のポイントを意識して歯磨きをしましょう。
・毎日最低1回は時間をかけて丁寧に歯磨きをする
・歯間ブラシやデンタルフロスで隙間までしっかり汚れを落とす
・仕上げに歯石沈着予防効果のあるデンタルリンスなどでうがいをする
どれだけ丁寧に磨いていても、歯石がついてしまうことがあります。歯石は自分で除去することが難しいので、歯石がついてしまったら必ず歯科を受診しましょう。
歯科医院では一般的に次のような手順で歯石除去を行います。
1. 問診(歯や全身の状態などをチェック)
2. 虫歯や炎症の有無のチェック、歯周ポケットの測定
3. 歯石除去
4. 歯磨きのチェックや磨き方の指導
歯石除去は、虫歯や歯周病の有無にもよりますが、複数回に分けて行うことがあります。適切な歯磨きの方法も指導してもらえますので、虫歯や歯周病でない場合も歯石除去の為に定期的に歯科を受診することをおすすめします。歯石除去にかかる費用は、1回2,000~3,000円程度です。
歯石除去はスケーラーという鋭利な専用の器具を使い、歯肉との境目や歯と歯の隙間に沈着する歯石を取るため、チクチクすることもありますが、国家資格を取得した歯科衛生士が丁寧に行うので、痛みが少ないことがほとんどです。また、超音波スケーラーを使う場合はさらに楽に早く除去できます。どうしても不安な場合は我慢せずに、歯科衛生士に相談しましょう。
歯周ポケットの測定などで歯周病と診断された場合には、歯周病の専門的な治療が必要となります。歯周病の場合、歯石は歯肉の中まで入り込んでいることがあります。歯周病菌は嫌気性菌(けんきせいきん)という酸素を嫌う菌なので、歯石で蓋をされた歯肉の中は格好の住み家となります。そして、歯肉に入り込んだ歯石が歯肉を刺激することで口臭が発生します。歯周病の治療では歯肉の中の歯石や、細菌に感染した部分を取り除く治療を行いますので、歯周病の治療を行うことが口臭の緩和に繋がります。
口臭は口腔環境が悪化しているバロメーターといえるでしょう。口臭を防ぐためにも定期的に歯医者で歯石除去や、歯周病の検査を受けることが大切です。
デンタル・コンシェルジュは、全国の歯科医院からあなたに合った歯科医院を検索できるポータルサイトです。