虫歯のように常に歯が痛いわけではないのに、歯を磨いたり、冷たい飲み物を飲んだりすると歯がしみることってありませんか?実はそれ、知覚過敏の症状かもしれません。知覚過敏とは、虫歯ではないのに歯に何かしらの刺激が加わると一時的に歯がしみて痛みが生じる症状のことをいいます。虫歯の痛みが慢性的であるのに対し、知覚過敏は一時的に歯がしみるという違いがあります。一体なぜ知覚過敏は起こるのでしょうか?また、知覚過敏になった場合の対処法はあるのでしょうか?
知覚過敏の原因を知る前に、まずは歯の構造を理解しておきましょう。歯は、表面がエナメル質で覆われており、エナメル質の内側に象牙質という組織があります。象牙質の内側に歯髄(しずい)と呼ばれる歯の神経があります。知覚過敏は、エナメル質が傷ついて露出しした象牙質に刺激が加わることで、象牙質にある象牙細管を通じて歯髄(しずい)から脳に刺激が伝わり、しみたり痛みを感じたりするのです。
毎日の歯磨きは虫歯予防に欠かせませんが、間違った磨き方をしていると歯のエナメル質を傷つける原因にもなります。知覚過敏の症状が現れたら、硬い歯ブラシは避け、ふつうの硬さの歯ブラシを使用するようにしましょう。歯磨きをするときは、力を入れず歯ブラシを歯茎に当てるように優しく磨きます。その際、歯磨き粉は知覚過敏専用のものを使うと良いでしょう。知覚過敏専用の歯磨き粉は、歯のエナメル質を傷つける研磨剤の量が少なく、硝酸カリウムという成分が歯の神経の周りにイオンのバリアを作り、知覚過敏を予防してくれます。歯ブラシも歯磨き粉もドラッグストアなどで購入できるので、知覚過敏に悩まされている方は、まずは歯磨きの方法やお口ケアグッズを見直してみてください。
キシリトールガムを噛むことも、知覚過敏には効果的だといわれています。キシリトールガムを噛むことで唾液がたくさん出るということは「意外と知らない、キシリトールの落とし穴」でご紹介しましたが、その唾液の中にはカルシウムやリン酸といった歯の成分であるミネラルがたくさん含まれおり、溶け出したミネラルを補ってくれます。食後に歯ブラシでお口の中をキレイにしてからキシリトールガムを噛むと良いでしょう。また、歯を硬くする効果があるフッ素ジェルを塗ることも知覚過敏には効果的です。歯磨きの後にフッ素ジェルで仕上げをしたり、フッ化物洗口剤で口をすすいだりすることで、簡単に知覚過敏を防ぐことができます。
歯ぎしりが原因で知覚過敏になっている場合は、マウスピースをつけて歯を刺激から守りましょう。マウスピースは市販の物もありますが、歯医者さんで作ってもらうことをオススメします。市販の物だと歯型が合わず、マウスピースが口内に当たって口内炎ができたり、歯並びが悪くなったりする可能性もあります。一方の歯医者さんで作るマウスピースは、それぞれ個人の歯型を取って作るので、口内のトラブルが起こりにくいというメリットがあります。保険診療内で作る場合は約5,000円、自費診療の場合は約10,000円~30,000円で作ることができます。
知覚過敏かも?と思ったら、自宅でできる知覚過敏の対処法を行いながら、歯医者さんにも診てもらうようにしましょう。受診すれば知覚過敏の原因に沿った治療を受けることができます。歯医者さんで行われている知覚過敏の治療方法を紹介します。
・知覚過敏専用の薬を歯に塗布する
・コーティング剤を歯に塗布する
・歯の表面を強化するレーザーを歯に照射する
・歯周病の治療を行う
・消炎鎮痛剤を服用する
・歯茎を移植することで歯茎の後退を改善させる
・歯の神経を抜く
知覚過敏の対処法は、自宅ですぐに始められる方法と、歯医者さんで治療する方法に分けられます。忙しくて歯医者さんに診てもらう時間がない方や、診察までに日数がある方は、まず自宅でできる方法を試してみてください。 たとえ知覚過敏の症状が治まったとしても、必ず歯医者さんに診てもらうようにしましょう。 根本的な原因が分からないままだと、また症状が再発する恐れがあります。知覚過敏の原因を突き止め、正しい治療を行うことが大切です。
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