「デンタルインプラント」とも呼ばれる歯科のインプラントは、入れ歯やブリッジとならび、失われた歯の代わりとなる最新の人口歯治療です。ここ10~20年くらいで特に普及してきたこの治療法はメリットも多く、患者さんにすすめる歯医者さんも増えてきています。しかし、インプラントを使用することは本当にメリットばかりなのでしょうか?メリットとデメリットを正しく理解し、適切な治療を受けられるようにしておきましょう。
インプラントのメリット、まずひとつめは「長持ちすること」です。すべての人口歯には耐用年数というものがあり、いずれも永久的なものではありません。例えば、部分入れ歯だと約5~6年、ブリッジで約8年の耐久性と言われています。しかし、インプラントの場合、きちんと手入れをすれば約30年はもたせることが可能です。これはインプラントに使われるチタンという金属が摩耗や損傷に強いから。毎日の歯磨きや歯石除去など定期的なメンテナンスを続けることで、長期間快適に過ごせるのです。
耐久性と併せてインプラントの大きなメリットになるのが、周囲の歯への負担が少ないこと。入れ歯やブリッジが、ほかの歯へ負担をかけることは、あまり知られていません。例えば、部分入れ歯は両サイドの歯にバネをかけるように装着するため、数年で周囲の歯が不安定になり、抜歯することもあります。抜歯した部分の歯も入れ歯にする必要があるため、入れ歯の範囲がどんどん広がるなど、悪循環に陥る場合も。また、ブリッジも歯の隙間が狭い場合は両サイドの歯を削る必要があり、健康な歯に傷をつけなくてはなりません。対してインプラントは他の歯を傷つけず、負担も少なく済みます。自分の歯を長く保ちたい方にとって、これは大きなメリットです。
インプラントの大きな特徴として、物を噛む力や噛み心地が自分の歯と変わらないことが挙げられます。自分の本来の歯で噛む力を100%とすると、部分入れ歯では約30%~40%、ブリッジでは約60%に低下すると言われています。一方、インプラントの場合は安定性が高いため、約70%~80%の力で噛む事ができるのです。また、食べ物の噛み心地にも大きな差があります。入れ歯やブリッジは噛む力が弱いため、食べ物は小さく切っておく必要があります。ガムやお餅など歯にくっつきやすい物は食べにくく、噛む時に痛みが出る場合もあります。対してインプラントの噛み心地は、ほぼ自分の歯と変わりません。噛む力も、噛み心地という点においても、インプラントは優れているのです。
前歯や笑った時に見える歯だと見た目の印象も気になります。入れ歯だとサイドの歯にひっかけるバネが見えてしまったり、大きく笑いすぎると取れてしまったりすることもあります。ブリッジはセラミック製を選べば綺麗に仕上がり、見ための違和感もありません。しかし、この場合保険が効かず治療費が高額になります。その点、インプラントは装着時に見える金具などもなく、セラミック製の歯などを使えば、とても自然で綺麗に仕上がります。特に女性なら、ほかの歯との色の差や、入れ歯が取れるアクシデントなどは避けたいもの。見た目の美しさという点でも、インプラントには大きなメリットがあると言えるでしょう。
インプラントのメリットは非常に多いのですが、デメリットがあることも覚えておきましょう。まず、装着に外科手術が必要だということ。「インプラント」という言葉は、骨の中に「埋め込む」人口の歯根を指します。この歯根を埋め込むには部分麻酔を使用した外科手術が必要です。歯茎に切開や縫合を行なうため、術後の腫れや痛みがひどく、内出血で頬が青くなることもあります。それゆえ事前にCT上で神経や血管の位置、骨の状態をきちんと確認し、可能な限り歯や歯茎にダメージを与えないよう細心の注意を払います。また、インプラントは骨としっかり結合することで噛む力も強くなり、より自分の歯と近くなります。しかし、まれに顎の部分の骨が弱く、すぐにはインプラント治療を行えないケースがあります。その場合も、事前にほかの部分の骨を移植し、充分に骨が強化されてからインプラントを入れるなどの対処がされます。いずれも専門医であれば事前にリスクを検討されるので問題はありません。しかし、患者側もこういったリスクをきちんと踏まえ、気になる点があったら医師にきちんと確認するようにしておきましょう。
インプラントのもうひとつのデメリットは、治療費が高額なことです。この金額の差さえなければ入れ歯やブリッジでなく、インプラントにするという方も多いでしょう。最先端治療とも言えるインプラントは健康保険の適用外です。費用は歯医者さんによっても変わりますが、1本あたり10~50万円が相場です。また、入れる場所や歯根の状態、人口歯の素材によって変わります。奥歯をセラミック製のインプラントにする場合などは、かなり高額になります。予算や、どこの歯を優先的にインプラントにするかなど、あらかじめ専門医で相談してプランを立てておきましょう。
いかがでしたか?治療法として絶賛されるインプラントですが、当然ながらメリットとデメリットがあります。あくまでインプラントは選択肢のひとつ。さまざまな治療法の中でインプラントが最適なのか、医師の意見を参考にしながら慎重に選びましょう。
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