自分の歯が突然抜けてしまったら、どうしたら良いかわからず動揺してしまう方が多いと思います。歯が抜けた時に間違った対処をしてしまうと、取り返しのつかない事になる場合があります。
歯が抜けてしまった時に慌てず正しく対処出来るよう、歯が抜けた原因別に、対処法と注意点を解説します。
歯周病の進行が重度の場合、歯が抜けてしまう事があります。その場合、歯を支えていた骨が無くなっていることが多いため、歯を再び元の状態に戻すことが非常に難しいです。歯周病は徐々に進行していく病気なので、急に抜けてしまうことは考えにくく、歯がグラグラするなどの自覚症状があったと考えられます。自覚症状があった場合は、すぐに歯科を受診して、適切な歯周病治療を受けましょう。歯周病の症状については以前「歯周病の症状を知っておこう！対策と予防法を詳しく解説」でも紹介していますので、ご自身でもチェックしてみてください。
外傷などで歯に強い力が加わり、抜けてしまうことがあります。この状態を「歯の脱臼」と言います。この場合、“歯の再植（さいしょく）”といって、抜けてしまった歯を元に戻せる可能性があります。再植が上手くいくかどうかは、抜けた時、どのように対処したかが影響します。次の注意点を守るようにしましょう。
・ 抜けた歯の根の部分を触らない
・ 歯を保存液に漬けるなどして乾燥させない
歯には、歯の根の表面に、歯と歯槽骨をつなげる“歯根膜（しこんまく）”が存在しています。歯根膜をできるだけ痛めないように、良い状態で保存できるかどうかが重要です。むやみに触ったり、乾燥させたりすると、歯根膜を痛めて、再植しにくくなる事があります。歯の保存液か、保存液がなければ生理食塩水に浸し、早急に歯科を受診しましょう。
外傷などで歯に強い力が加わった場合、歯の根が折れて抜けたように感じる事があります。また、接着剤の劣化によって差し歯などが取れた場合も抜けたと感じるかもしれませんが、歯の根は残っている状態なので、正確には歯が抜けたわけではありません。歯の根が折れた場合には、そのまま元に戻す事は難しいですが、接着剤の劣化によるものであれば、調整して付け直す事が可能な場合があります。取れた歯を持参し、早めに受診をするようにしましょう。やってはいけない事は、次のものが挙げられます。
・ 勝手に接着剤で付けない
・ 捨てない
時々、接着剤で付けてしまう人がいます。これは絶対にやめましょう。自分で付けてしまうと、接着する時にズレる事が多く、歯科で付け直すにも、簡単に外すことができなくなってしまいます。場合によっては、削って外さなくてはいけません。取れた歯は、新しく歯を作る参考にする事がありますので、捨てたりしないで、丁寧に保管し、歯科を受診する際に持参するようにしてください。
歯が抜けた状態を放置すると、抜けた箇所だけでなく、周囲の歯にまで様々な悪影響があります。歯が抜けた箇所は、大きな隙間になります。長期間放置すると、両隣の歯が隙間の部分に傾いてきます。抜けた歯の場所へ、隣の歯が傾いたり、移動をしたりする事によって、歯と歯の間の隙間が全体的に広がっていきます。周囲の歯が動く事によって、噛み合わせや歯並びが悪くなります。噛み合わせや歯並びが悪くなると、虫歯や歯周病のリスクが増します。また、頭痛や肩こりの原因にもなります。歯が抜けた場合は放置せず、すぐに歯科を受診しましょう。
歯が抜けてしまった場合、次のような治療を行います。
（１）ブリッジ
抜けた歯の両隣の歯を削って、橋渡しをするように金属の被せ物を入れて、抜けた歯を人工の歯で補う方法です。抜けた歯の本数が１本〜2本の場合に有効で、多数の場合には適応できません。
（２）入れ歯
入れ歯は、取り外しができる人工の歯のことです。値段も保険が適用になるものならば、それほど高くありませんが、自費治療のものと比べ、材質が異なります。自費治療では、材料の選択肢が増え、薄い材質のもので違和感が少ないものを選ぶ事もできます。
（３）インプラント
抜けた歯の部分に、人工の歯根を埋め込み、その上から人工の歯をはめる治療方法です。自分の歯と同じような使用感で噛み心地が良いのが特徴です。自費治療なので高額になります。また、外科処置が必要になります。インプラント治療については「インプラント治療は怖くない？起こり得る痛みの原因と対処法」でも詳しく解説しています。
いかがでしたでしょうか。歯が抜けてしまった場合、原因に応じた適切な対処が必要です。自分だけで、原因を判断するのは難しいことも多いと思いますが、一番大事なのは抜けた歯を丁寧に保管し、早めに歯科を受診することです。歯が抜けてしまっても修復できる可能性はありますので、慌てずに対処しましょう。
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