歯周病は、「歯周病菌」によるお口の中の感染症です。そして人から人に感染する可能性のある病気です。歯周病菌は、どのようにして人から人に感染するのか。どのように感染を予防すれば良いのかを詳しく説明します。
歯周病は、歯周病菌が毒素を出す事で、歯肉や歯槽骨(しそうこつ)という歯を支える骨などの歯周組織を破壊していく病気です。進行すると最悪の場合、歯が抜け落ちてしまいます。また、歯周病は、「サイレントディシーズ(静かなる病気)」と言われ、初期の段階では、痛みなどの自覚症状がほとんどありません。ですから、歯周病にかかっている事に気づかない事が多く、気づいた時にはかなり進行してしまっている事があります。一度、歯槽骨が溶けてしまうと、再び元の状態に戻る事は難しいとされています。初期の段階で発見、治療を行う事が重要です。
歯周病菌は、唾液を介して人から人にうつります。ですから、箸やスプーンなどの直接口にするものを共用したり、キスなどのスキンシップで感染したりする可能性があります。知らず知らずのうちに、親子やパートナーから感染する事もありますので注意が必要です。 赤ちゃんや小さな子供がいる方に、特に注意をしてほしいのが、食べ物の口移しです。食べ物を子供の食べやすい大きさにするために、大人が一度口に入れて小さくしてから与えることで、親の口内にある歯周病菌が子供に感染することがあります。子供の場合、歯周病のイメージが薄いかもしれませんが、小さな頃に感染した歯周病菌が大人になってから歯周病を発症する要因になります。また、10代、20代に発症しやすい「若年性歯周炎」の原因にもなります。1歳6か月前後が最も感染しやすい時期と言われていますので、父・母・兄弟はもちろん、触れ合う事の多い祖父母にも注意をしてもらうようにお願いしておきましょう。子供の歯周病については、こちらの特集でもご紹介しています。「子供も歯周病になるの?歯医者さんに聞きました」
触れ合う事の多い夫婦や恋人など、パートナー間も歯周病菌に感染しやすいので注意が必要です。パートナーと良い関係を続けるためにもスキンシップを控えるのでは無く、お互いに日頃から歯周病にならないように予防をする事が大切です。パートナーのどちらかが歯周病にかかっている場合には、お互いに歯周病菌に感染している事が考えられます。歯周病の発症や進行を抑えるためにも、二人揃って歯科を受診する事をオススメします。
歯周病菌を人にうつさないためには、前述したとおり、できるだけ唾液の接触を避ける必要があります。しかし、人間関係において、スキンシップはとても大切な事です。スキンシップによる感染に敏感になりすぎるのは、あまり精神的にも良くないように思います。ここからは歯周病菌をうつさない為にやるべき事をご紹介します。まずは、歯科を受診して、自分が歯周病かどうかを確認しましょう。歯周病にかかっている場合、口内は歯周病菌が大量に繁殖した状態にあります。人に歯周病菌を感染させてしまう可能性が高いので、早めに治療を済ませておく事が大切です。
毎日の丁寧な歯磨きで、口内に歯周病菌が少ない状態を維持しましょう。歯周病の予防には、毎日の歯磨きが必要不可欠です。歯ブラシで丁寧にブラッシングをし、歯と歯の間部分には、歯間ブラシやデンタルフロスを利用するようにしましょう。「磨いているつもり」では意味がありません。毎日の歯磨きは、いつの間にか自己流の磨き方になってしまっている事が多く、磨き残しを多く作る原因となります。毎日の歯磨きを効果のあるものにするためには、一度、歯科でブラッシング指導を受ける事をおすすめします。
歯周病の予防には、歯科で定期検診を受ける事が大切です。歯周病は、自覚症状がほとんど無いまま進行していきます。自分では、大丈夫だと思っていても、何らかしらの歯周トラブルを起こしている可能性があります。定期検診を受け、歯周病のチェックを行うと同時に、専門的なクリーニングで、普段自分では取ることのできない細菌も除去してもらいましょう。また、歯周病の治療を終えた後も安心はできません。むしろ、歯周病の治療を行った後こそ、定期的にメンテナンスをする事がとても大切です。歯周病の治療とは、「炎症を抑え、歯周病が進行しない状態を維持すること」です。つまり、一度歯周病の治療を行った後でも油断すると、再び歯周病が進行しやすいのです。
いかがでしたでしょうか。歯周病は人から人にうつる病気です。歯周病菌に感染しても、歯周病が発症しない口内環境にしておく事が大切です。また、自分のお口の歯周病予防が、自分の周りの人の歯周病予防にもなります。毎日丁寧な歯磨きを行う事と、少なくとも半年に1回は、歯科で定期検診を受けることをおすすめします。
デンタル・コンシェルジュは、全国の歯科医院からあなたに合った歯科医院を検索できるポータルサイトです。