歯肉炎になると、歯茎に腫れや出血を伴って痛みを感じたり、ものを噛んだ際に痛みが生じたりと、とても辛いものです。歯肉炎は、適切な治療によって治すことが出来ますが、症状に段階があり、それぞれの症状に応じた治療を受ける必要があります。軽い症状の場合、自宅で対処出来ることもありますが、重い症状の場合には歯科医院にかかる必要があります。そこで今回は、歯肉炎の症状と治し方について解説します。
まずは、歯肉炎が起こる原因を知ることから始めましょう。歯肉炎とは、歯肉やセメント質など歯を支える周囲組織の中でも、歯肉部分に限定して炎症が起こる症状のことを言います。原因の多くはプラーク(歯垢)が溜まることですが、服薬による副作用や、女性の場合は妊娠などによるホルモンの変化によっても起こることがあります。歯石や大きなむし歯、古くなった詰め物などがある場合はプラークによる歯肉炎が起こりやすくなりますし、血液疾患があるケースでも歯肉炎の症状が進行しやすいと言われています。歯みがきを適切に行わなかったり、砂糖がたくさん含まれている食べ物を頻繁に食べたりすると、口内で細菌が増殖してプラークが増えてしまい、歯肉炎になる可能性が高まってしまいます。
次に、歯肉炎の主な症状をご紹介します。
・口臭がある
・歯茎が腫れている
・歯茎から出血する
・歯茎が痛い
・歯がグラグラする
・歯茎が膿んでいる
こんな症状がある場合、歯肉炎の疑いがあります。歯肉炎の特徴として、指で歯茎を押すと、歯茎部分が柔らかくなっていて、指に血がつくことがあります。 このような場合には、早期に歯科医院にかかって適切な治療を受けることが必要です。たとえ痛みが出ていなくても、腫れや出血などの異常があったらすぐに治療を受けることをおすすめします。歯科医院では、歯石除去の他にも、口腔衛生に関する指導を受けるこができます。指導を受けて、生活習慣を改善することで、歯肉炎の悪化を防ぎ、歯茎を正常な状態に戻すことにもつながります。
歯肉炎を予防するのに一番効果的なのが「歯磨き」です。歯磨きをしないと口内で細菌が繁殖しますし、歯石も溜まるので、歯肉炎になる可能性が高まります。歯磨きの際には、歯と歯の間まできちんと磨き、汚れを取ることが大切です。歯磨きの適切な方法を知るのに最適な手段としては、歯科医師や歯科衛生士に直接指導を受けることです。歯磨き以外の予防として、マウスウォッシュの利用もおすすめです。成分にもよりますが、マウスウォッシュを使うことで口内の細菌を少なくすることが出来るので、歯肉炎予防だけでなく、虫歯予防の効果もあります。
自分ではしっかり歯磨きをしているつもりでも、歯磨きでは落としきれない汚れが少しずつ歯に沈着していきます。前述しましたとおり、この歯についた汚れが歯肉炎の原因となります。歯肉炎を予防するためには、3ヶ月~半年に1回は歯科医院に行って、歯のクリーニングを受けることが大切です。
歯肉炎予防のためには、歯磨きだけでは不十分なこともあります。規則正しい生活を心がけ、ものを食べるときには良く噛んで飲み込むなど、生活習慣を改善することも大切です。また、喫煙の習慣も歯肉炎には良くありません。タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素が血流を悪化させる為、口内の細菌が繁殖しやすくなり、歯肉炎の原因になることがあります。この他にもストレスが原因で口内環境が悪くなり、歯肉炎に繋がることがありますので、なるべくストレスを溜めないように生活することも、歯肉炎予防のポイントです。
歯肉炎の中でも痛みがなく軽い症状であれば、毎日の「歯磨き」を意識して行うことで改善できる可能性があります。具体的な症状としては「歯磨きをすると少し出血する」「歯茎が赤くなっている」「歯茎が少し腫れている」といった場合です。歯磨きをする際は以下3つのポイントを意識しましょう。
・歯と歯茎の境目に歯ブラシを直角に当てる
・歯ブラシを前後に細かく1箇所で20回程度動かす
・軽い力で動かし、強く押し当てない
この時、使う歯ブラシは先端が細くなっているものを選び、歯間ブラシ・デンタルフロスも併用して、歯と歯の隙間や奥歯の溝まで歯垢をしっかり落としましょう。歯茎の炎症がひどく、痛くて磨けない場合には早期に歯科を受診する必要があります。歯科を受診するまでの間の痛みを和らげるためには、鎮痛剤を飲んだり、痛みのある部分を冷やしたり、固いものを食べないようにするなどの処置を行いましょう。参考:眠れないほど歯が痛むときの応急処置
歯科医院では、正しい歯磨きや生活習慣の改善指導だけではなく、炎症がひどい場合は、レントゲンを使って状態を確認し、治療が必要かどうかを判断します。治療が必要と判断された場合、歯石や歯の汚れを除去して歯茎の状態を改善していきます。1ヶ月程経過したら、歯茎の検査を実施して状態を確認します。このとき、改善出来ていない箇所がある場合は、その部分の治療を集中的に行います。治療後、再び歯茎の状態を見て、すべて改善していれば治療は完了です。その後も、定期的に歯科医院に通って再発しないように指導を受けましょう。
歯肉炎の治療費用の相場を見てみましょう。治療費には保険が適用されるものとされないものがあり、保険が適用されると1割~3割の負担で済みますが、保険適用外の自由診療は全額負担となるのでその分費用がかかります。症状の段階によっても費用が異なります。段階別費用は以下の通りです。
【歯肉炎初期】
・保険適用:5,000円~1万円程度
・保険適用外:1万円~5万円程度
【歯肉炎中期】
・保険適用:1万円~5万円程度
・保険適用外:5万円~50万円程度
【歯肉炎末期】
・保険適用:3万円~10万円程度
・保険適用外:20万円~300万円程度
このように、歯肉炎は放置して症状が重くなると、治療のために多額の費用がかかってしまいます。費用負担を考慮しても、早期に対処することをおすすめします。
歯肉炎を放置していると、歯茎に膿がたまったり、強い口臭が発生したり、歯がぐらついて抜けたりすることもあります。出血や痛みがひどく、ものを食べられなくなることもあります。予防のためには毎日の適切な歯磨きが大切です。万が一歯肉炎になっていたとしても、痛みがなく自覚症状がない場合もありますが、歯茎に腫れや、痛みを感じるなどの異常を感じたら、まずは一度歯医者に行って診てもらうと良いでしょう。
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